第26回ブルーベリーシンポジューム [講演会・講習会の参加]
2019年11月4日(月)品川区立総合区民会館「きゅりあん」7Fにおいて
一般社団法人日本ブルーベリー協会のブルーベリーシンポジュームが開催されました。
ホームページ http://japanblueberry.com/
参加しましたので報告いたします。
【基調講演】「協会設立ブルーベリー25周年の検証と未来への展望」 渡辺順司様
「ブルーベリー大図鑑」著者
ブルーベリー産業の現実を見つめ、ブルーベリー産業のマイナス面を認識し、
マイナス面にどう対処していくかを考える。
自らの経験と他者の成功事例を参考に
自らの土地や地域でのオリジナリティを見つける。
環境や取り巻く状況は常に変化するので柔軟な対応をし、
アイデアや知恵は創出し続ける必要がある。
自分自身のポテンシャルを信じて、邁進し続ける必要がある。
人間のポテンシャルは無尽蔵で、限界は拡張可能なものである。
日本ブルーベリー協会の会員は協会をどう使うかを考えるべきである。
各々の会員自身が自信を持ってオリジナリティ溢れるアイデアの創出と、
受動的姿勢から能動的姿勢に変換し、即行動に移すべきである。
あきらめることなく幾度も幾度もチャレンジする。
ブルーベリー産業に自分なりの課題を果たし、その完結を目指す。
鋭い指摘と批判をともなった非常に感動的な講演でした。
ありがとうございました。
【特別講演】「大粒品種ノビリスの導入について」 暖地ブルーベリー園芸植物研究所
所長 串間 俊文様
「米国・ジョージア州より導入したT-100の来歴と、
日本でノビリス(Nobilis)と命名され、
特に関東地区で普及したラビットアイ・ブルーベリーについて」
1978年に串間氏が日本に導入。1996年にノビリス(Nobilis)と
本日の講師の串間氏が命名。ジョージア州で登録されなかったが日本で普及した品種。
樹勢良く直立性。果実は大粒。極晩生の後期である。果実は特有の風味がある。
若干クセを感じた果実品質も美味なものへと変化していく。
日本のラビットアイ系品種を栽培する農家で高い評価を得ている。
ラビットアイ系品種の新旧の品種の中から次の10品種を選出して、
今後の生産の指標とする
ベスト1は(1)ティフブルー、ベスト2は(2)ブライトウェル、
(3)ブライトブルー(4)パウダーブルー(5)ノビリス
(6)パルドウイン(7)オースティン(8)ラヒ(9)ウィトウ (10)デライト
80歳の年齢とは思えない、はつらつと元気な姿で講演してくださいました。
ブルーベリーの栽培と研究の為にジョージア州立ジョージア大学のオースチン氏
の下に1978年3月に1ヶ年の留学をして、ブルーベリーの栽培と研究をしてきました。
当時日本で中心的な活躍をしていた東京農工大学の岩垣先生と
岩垣先生の門下生と一緒に努力をしてきた方です。
日本に初めてラビットアイの主要品種(20種)を輸入した人でもあります。
ありがとうございました。80歳と高齢ですが今もブルーベリー産業の普及に
努力している方です。すごい方でびっくりしました。
ブルーベリーを長年にわたり食べ続けると非常に良いと立証してくださっていますネ。
今後ともよろしくお願いいたします。
今回の講演資料は非常に価値があります。貴重な資料でもあるので
大事に使わせていただきます。
なお、資料はブルーベリー協会の事務局に問合せ、御購入ください。
【事例報告】
座長 恵泉女学園大学 教授 (一社)日本ブルーベリー協会理事 小林 幹夫様
の司会進行で始まりました。
◇「ブルーベリー園の現在と今後の在り方
~リピーターを増やして園に活力を~」
吉野果樹園・ブルーベリー協会監事 吉野 康雄様
東京都三鷹市で120アール、約80品種、1500本を栽培し、
摘み取り園を経営しています。ハイブッシュ系60品種500本、
ラビットアイ系が20品種1000本を栽培しています。
摘み取り園のため条間4m×株間2mとし、通路を広めにとっています。
ブルーベリーの他パッションフルーツ、ぶどう、野菜を栽培しています。
耕種的防除を行い農薬や除草剤は使用せず、これからも無農薬栽培を続けます。
品種選びは最も重要です。栽培技術を駆使して品種が持っている
潜在能力を最大限引出す栽培技術を獲得することが今後の大きな課題である。
ラビットアイ系品種で「ティフブルー」を超える品種はまだ存在しません。
次に匹敵する品種は「オクラッカニー」です。欠点の少ない品種です。
ハイブッシュ系品種はこれといった品種はありませんが「レガシー」
がすぐれていると思います。それ以外で注目しているのは「サウスムーン」です。
気になる品種は「ユーリカ」です。あの食感と味はこれまでのブルーベリーとは
一線を画すほどのものだと思います。
今後の課題はブルーベリーの本当の美味しさを知っていただくことだと思います。
そのために品種の選定、栽培技術の改善、収穫方法の改善が必要だと考えています。
年に一度しか収穫できない果樹栽培では一人の経験はたかが知れています。
栽培者、消費者、研究者、流通業者、その他ブルーベリーに関わっている多くの人が
情報を共有し、栽培技術を磨き、より美味しいブルーベリーを提供していく
ことが必要だと思います。
長年にわたり積み上げた貴重な情報をお聴かせいただきありがとうございました。
有効に活用させていただきます。ありがとうございました。
◇「ブルーベリーから学んだこと、これからの期待
~軽井沢 体験型農園にこだわって~」
ブルーベリーフィールド・カナン代表 小宮山 学様
60歳の時、40年ぶりに実家に戻り、ブルーベリー農園を始めました。
実家は兼業農家でしたが、農業が嫌で、他の仕事をしていました。親の世話を
みる必要で40年ぶりに戻りました。Uターン。今から11年前のことでした。
ブルーベリーの木がブルーベリーの実を生み出すのであり、我々(人間)が
ブルーベリーの実を生み出すのではないのです。我々は実を生み出す
ブルーベリーのほんのわずかなお手伝いをする事なのです!
ブルーベリーが喜ぶことを探し、発見して寄り添っていきたいと考えています。
観光農園として予約制収穫体験型としたことは良かったと感じています。
農薬をほとんど不使用なので、昆虫たちの宝庫です。子供たちは走り回り、
課外学習をします。景観造りにも力をいれ、地元の四季折々の草花や樹木を
生かした農園が心を癒します。
これからも本質的なことを忘れずにブルーベリー園を盛り上げていき、
本質的なことからぶれない事をブルーベリーから学んでいきたいと思います。
◇コーディネーターによる質疑応答
続きまして情報交換交流会に続きます
司会進行は遠山ブルーベリー農園の園主遠山克己様と岩垣悠様
ホームページ http://blueberryhill95.com/
・開会のあいさつ
・会長のあいさつ
・協会設立25周年の思い出
・各地区代表のあいさつ
・乾杯
・歓談
長年にわたりブルーベリーに携わってこられた先生方、諸先輩方々が
貴重な情報を惜しみなくお聞かせくださり、ありがとうございました。
ブルーベリー協会スタッフ一同の心使いが現れていました。
お疲れ様でした。おもてなしをありがとう。今後ともよろしくお願いいたします。